組織内キャリアに関連する概念
組織内キャリアに関連する概念は、以下の5つがある。
①キャリア自律
②リアリティショック
③組織社会化
④組織コミットメント
⑤キャリアプラトー
①キャリア自律は、ウォーターマンらによって提唱された概念。キャリア自律を実践できる人材とは、「自分自身を継続的にモチベートし、自分の意思をベースに主体的に行動でき、チャンスを能動的に捉え、事態を切り開くことができる人材」としている。
②リアリティショックとは、「ある組織に参入する前に確立された個人の期待と、その組織の成員になった後の個人の知覚との不一致」とされる。一般的には、組織に対する参入前の個人の期待と参入後の現実との差異に対するネガティブな感情、心理的衝撃を指す。リアリティ・ショックは、個人のモラール、職務満足、組織コミットメントといった職務態度に対してマイナスの影響を及ぼし、深刻な場合は組織からの自発的な離脱を引き起こす。これに対する実践的処方として、より現実的な職務・組織情報を提供することで、事前に形成される期待を現実水準に調整しようとするRJP(Realistic Job Preview:現実的職務予告)が知られている。
③組織社会化(organizational socialization)は「個人が組織における役割を引き受け、組織の一員として参加するために必要な価値観や能力、期待される行動、および社会的知識を正しく認識する過程」であったり、「組織への新規参入者が組織の規範・価値・文化を習得し、期待されている役割を遂行し、業務遂行上必要な技能を習得することによって組織に適応すること」などと定義される。組織社会化は組織参入時だけではなく、中長期的なキャリア発達の過程においても継続的に生じる過程である。
④組織コミットメント(organizational commitment)とは、組織との関わりにおける個人の態度と行動に関わる概念。組織コミットメントの代表的な定義として、「ある特定の組織に対する個人の同一化及び関与の強さ」があげられる。強い組織コミットメントを有する個人は、1.当該組織の価値観や目標の強い受容および信念、2.自らを組織の代表とみなした多大な努力、3.当該組織に引き続いて所属を希望する強い意志。の3つをともなう。組織コミットメントは、組織社会化に成功し、その後の組織での順調なキャリア発達、昇進や昇格によって高まる事が示唆される。
⑤キャリア・プラトー(career plateau)は「それ以上の階層的な昇進の見込みが非常に低いキャリアの地位」と定義されている。近年の日本では、経済の低迷によるリストラクチャリング、高齢化や高学歴化の進行による人的資源管理の変容、雇用の流動化や多様化により、キャリア・プラトーは中年期に限らず普遍的に見られる現象である。
今日は、この辺で。では、また。Chao!